【社説検証】生方発言騒動 民主に自浄努力迫る産経、朝日も小沢氏に期待せず(産経新聞)
民主党の生方幸夫副幹事長による産経新聞のインタビュー「単刀直言」(17日付)での発言を党執行部が問題視し、いったんは強引に解任を決めた。その決定が23日に撤回されるに至る騒動が、政権を握る民主党のアキレス腱(けん)を露呈した。
発言の核心は、資金管理団体の政治資金規正法違反事件に伴う小沢一郎幹事長の進退問題と政治手法に言及した部分だ。
「今の民主党は権限と財源をどなたか一人が握っている」
「幹事長をお辞めになるべきだという意見が多い。小沢さんがしかるべき場所できちんと説明するのが第一。それで国民の納得が得られなければ自ら進退を考えるしかないです」
世論調査からうかがえる国民の声をふまえた率直な意見である。役職を解任しようとした民主党執行部に対し各紙の社説は「愚挙」(朝日、毎日)、「言論封殺」(読売、朝日)などと非難の文言を並べた。
図らずも「生方発言」騒動の震源地となった産経は、小沢氏が事実上の最高実力者である民主党の実態を「独裁」と単刀直入に指摘した。
「執行部にとって耳の痛い話も聞き、おかしなところを是正するのが民主主義社会における政党の姿である。それを認めることなく、排斥してしまうのを『独裁』という」
「小沢氏をおもんぱかって執行部が解任を急いだのであれば、独裁的体質が党組織に蔓延(まんえん)している証左だ」
朝日は「小沢独裁」と表現し、批判の矛先をとくに小沢氏個人に向けていた。
「小沢氏が選挙の公認権と政党交付金などの配分権を握っているのは紛れもない事実だ」
「いまさら氏に改心は期待できまい」
しかし、自らの「政治とカネ」の問題で説明責任を果たしていないのは、鳩山由紀夫首相も同様だ。いったんは生方氏の解任に同意した民主党のトップ2人について、読売は「二人とも『政治とカネ』をめぐる自らの責任問題への波及を恐れた、保身ゆえの判断とみられても仕方があるまい」と断じた。
このほか、「物言えば唇寒し、が党風となれば、民心は離れ、待っているのは自滅の道である」(東京)、「政権交代してから、民主党内で自由に議論ができる場や機会がなくなったことこそが問題」(日経)などと、民主党が抱える構造的欠陥を突いた論説が目立った。
毎日は「従来の政治にない清新さを期待し政権交代を選択した有権者の目に、古い体質の締め付けはどう映るだろう」と嘆いている。
今回は各紙の論調に違いを見いだすことが難しかった。強いて違いを挙げれば、朝日と毎日が、小沢氏抜きでの民主党刷新への期待を滲(にじ)ませていることだろうか。
騒動は結局、各紙の社説にみられるような世論の猛反発を受け、解任撤回で決着した。ここでも小沢氏が登場した。生方氏に対し、「もう一度、一緒にやってくれないか」と続投を要請したという。
産経と朝日が24日付で再び論じた。朝日が、何よりけじめをつけるべきは「小沢氏の政治責任」としたのに対し、産経は民主党全体の自浄作用を強く求め、猛省を促している。
「批判かわしの処分撤回なら許されない」
民主党への逆風は当分おさまりそうにない。(鳥海美朗)
■生方民主党副幹事長の発言騒動をめぐる各社の社説
産経
・自浄努力を封じる愚かさ(20日付)
朝日
・幹事長室に風は通らない(21日付)
毎日
・党を暗く閉ざすのか(20日付)
読売
・言論封じた民主の強権体質(22日付)
日経
・「小沢民主党」に言論の自由はないのか(21日付)
東京
・それが民主党らしさか(20日付)
【関連記事】
・ 生方氏「小沢氏は何らかの形で責任を」
・ 小沢氏、生方氏らに苦言「政権与党の認識甘い」
・ 批判は許さん!小沢取り巻き“生方イジメ”過熱
・ 「執行部は国民に謝罪を」 解任撤回で民主・生方氏
・ 生方氏の解任撤回 小沢氏も支持率低下、世論の批判にたえられず
・ あれから、15年 地下鉄サリン事件
・ 足利再審 検察当局、控訴しない方針(産経新聞)
・ リコール済み生ごみ処理機が発火=ヤンマー、他社製品と無償交換へ
・ <雑記帳>五輪銅の加藤選手が凱旋パレード 山形(毎日新聞)
・ <人事>防衛省(毎日新聞)
・ 日本一!338メートル 「スカイツリー」東京タワー抜く(産経新聞)
発言の核心は、資金管理団体の政治資金規正法違反事件に伴う小沢一郎幹事長の進退問題と政治手法に言及した部分だ。
「今の民主党は権限と財源をどなたか一人が握っている」
「幹事長をお辞めになるべきだという意見が多い。小沢さんがしかるべき場所できちんと説明するのが第一。それで国民の納得が得られなければ自ら進退を考えるしかないです」
世論調査からうかがえる国民の声をふまえた率直な意見である。役職を解任しようとした民主党執行部に対し各紙の社説は「愚挙」(朝日、毎日)、「言論封殺」(読売、朝日)などと非難の文言を並べた。
図らずも「生方発言」騒動の震源地となった産経は、小沢氏が事実上の最高実力者である民主党の実態を「独裁」と単刀直入に指摘した。
「執行部にとって耳の痛い話も聞き、おかしなところを是正するのが民主主義社会における政党の姿である。それを認めることなく、排斥してしまうのを『独裁』という」
「小沢氏をおもんぱかって執行部が解任を急いだのであれば、独裁的体質が党組織に蔓延(まんえん)している証左だ」
朝日は「小沢独裁」と表現し、批判の矛先をとくに小沢氏個人に向けていた。
「小沢氏が選挙の公認権と政党交付金などの配分権を握っているのは紛れもない事実だ」
「いまさら氏に改心は期待できまい」
しかし、自らの「政治とカネ」の問題で説明責任を果たしていないのは、鳩山由紀夫首相も同様だ。いったんは生方氏の解任に同意した民主党のトップ2人について、読売は「二人とも『政治とカネ』をめぐる自らの責任問題への波及を恐れた、保身ゆえの判断とみられても仕方があるまい」と断じた。
このほか、「物言えば唇寒し、が党風となれば、民心は離れ、待っているのは自滅の道である」(東京)、「政権交代してから、民主党内で自由に議論ができる場や機会がなくなったことこそが問題」(日経)などと、民主党が抱える構造的欠陥を突いた論説が目立った。
毎日は「従来の政治にない清新さを期待し政権交代を選択した有権者の目に、古い体質の締め付けはどう映るだろう」と嘆いている。
今回は各紙の論調に違いを見いだすことが難しかった。強いて違いを挙げれば、朝日と毎日が、小沢氏抜きでの民主党刷新への期待を滲(にじ)ませていることだろうか。
騒動は結局、各紙の社説にみられるような世論の猛反発を受け、解任撤回で決着した。ここでも小沢氏が登場した。生方氏に対し、「もう一度、一緒にやってくれないか」と続投を要請したという。
産経と朝日が24日付で再び論じた。朝日が、何よりけじめをつけるべきは「小沢氏の政治責任」としたのに対し、産経は民主党全体の自浄作用を強く求め、猛省を促している。
「批判かわしの処分撤回なら許されない」
民主党への逆風は当分おさまりそうにない。(鳥海美朗)
■生方民主党副幹事長の発言騒動をめぐる各社の社説
産経
・自浄努力を封じる愚かさ(20日付)
朝日
・幹事長室に風は通らない(21日付)
毎日
・党を暗く閉ざすのか(20日付)
読売
・言論封じた民主の強権体質(22日付)
日経
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東京
・それが民主党らしさか(20日付)
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